MEALS-ON-WHEELS (高齢者の意図しない食欲不振・体重減少の鑑別診断) (2026/1 update)

臨床(疾病各論)

はじめに

MEALS-ON-WHEELSとは何か:下の画像の通り(トラックの側面にMEALS-ON-WHEELSと書いてあります)、車輪の上に乗った食事.ということで配食サービスの意味です

高齢者が配食サービスを受けていることも多いことから、高齢者の意図しない食欲不振・体重減少の鑑別診断 として、起こりうる原因の頭文字をMEALS-ON-WHEELSにまとめています。

研修医に高齢者の意図しない食欲不振・体重減少の鑑別診断は? と聞くと、「がん!」 が出てきて、そのあと何も出てこない人も多いですが、ここに書かれている分ぐらいは、出てくるようにしておきましょう。(後述しますが、高齢者の体重減少で、がんが見つかるのはだいたい5人に1人です(それでも結構多いと思いますが)。

これまでは、鑑別の頭文字と説明だけを書いてあったのですが、今回大幅に内容を追加しました。

具体的にはどのような鑑別が含まれるのか

オリジナルの出典はMorley(1997)とされています(後述)。その論文のtable1をそのまま掲載します。table1のタイトルの通り、これらは「可逆的な」原因のリストです。ですから、これらが関与してそうであれば、まずそれらを修正してみても、体重減少が下げ止まらないなら、そこで、本格的な精査を開始する、というアプローチも、患者さんと相談の上ではありかもしれません。この論文は、それぞれがどのようなメカニズムを通して体重や食欲が実際に減るのかを、根拠となる論文をそれぞれに引用して説明しています。

 AFP(2002)に乗っている同じ表の脚注にはMorley(1995)とReife(1995)から作成とありますが、それらのabstractを読む限り、MEALS-ON-WHEELSは出てこなさそうです。。

また、下記のMoriguti(2001)には、Table 2に The 9 Ds of weight loss in the elderly.というのが挙げられています。(また覚えにくいやつだ。。。)

それぞれの原因とその頻度

体重減少の原因をMEALS-ON-WHEELSのそれぞれに分類して、それぞれがどのぐらいの頻度かというのを調べた研究は、残念ながらありません。さっと調べて見つかった、4本の論文から、ざっくりまとめると以下のようになると思います(表には、上記MEALS-ON-WHEELSは含まれていないこと、頻度についての研究は他にもたくさんあることに注意)。それ以外の、Reife(1995)でも、かなりがっつり精査してその後長期にフォローしても原因の判明しないものが25%ぐらいある、と書いています。

原因カテゴリーおおよその頻度レンジ(%)コメント
悪性腫瘍(solid, hematologic)11–36最も一貫して高頻度。消化器が多いが、肺・血液腫瘍なども含む。
非悪性消化器疾患(潰瘍、PUD, IBD, 吸収不良など)0–19慢性炎症性疾患、食道・胃腸機能障害、慢性疼痛による摂食低下など。
精神疾患(うつ病、認知症関連、アルコール関連など)6–24うつ病・認知症・アルコール依存などが中心。施設・外来の違いでレンジが広い。
心肺疾患(心不全、COPD など)5–24進行した心不全・慢性呼吸不全・肺高血圧などで代謝亢進と摂食低下が併存。
内分泌疾患(甲状腺、副腎、糖尿病など)0–11甲状腺機能亢進症のほか、未治療糖尿病、副腎不全などが少数ながら含まれる。
神経疾患(脳血管障害、パーキンソン、嚥下障害など)0–10脳卒中後、パーキンソン病、進行性神経変性疾患による嚥下・ADL障害。
その他の医学的原因(腎・肝疾患、自己免疫、感染症など)0–15CKD, CLD, 結核など慢性感染症、膠原病、薬剤性など多様な原因を含む「その他」。
原因不明6–28綿密な評価後も原因が特定されない群。フォロー中に悪性腫瘍が顕在化することもある。

どのように、どれぐらい精査をするのか

については、たくさんの良い教科書やマニュアルがあるので、そちらを参照していただきたいと思います。参考に、1本だけ台湾での入院精査された体重減少高齢者の研究をあげておきます。

Jia-Min Wu, Ming-Hsien Lin, Li-Ning Peng, Liang-Kung Chen, Shinn-Jang Hwang,
Evaluating diagnostic strategy of older patients with unexplained unintentional body weight loss: A hospital-based study, Archives of Gerontology and Geriatrics, Volume 53, Issue 1, 2011,Pages e51-e54,

After extensive diagnostic effort, the most common diagnostic entity was benign organic disease (33.8%), followed by unknown (25.7%), neuropsychiatric disorder (23.5%), and malignancy (16.9%). 

とあり、やはりがんが20%弱、原因不明が25%、メンタル関連が25%ということでした。

特定の疾病が見つからないときにどうすれば良いか

これも詳細は成書に譲りますが、

Alibhai SM, Greenwood C, Payette H. An approach to the management of unintentional weight loss in elderly people. CMAJ. 2005 Mar 15;172(6):773-80. 

の、table 3,4に非薬物的介入、薬物的介入のリストがあるので、参考になると思います。

参考文献

オリジナル(と考えられるもの)

Morley JE. Anorexia and weight loss in older persons. Clinics in Geriatric Medicine. 1997;13(4):748

Morley JE, Silver AJ. Nutritional issues in nursing home care. Ann Intern Med 1995;123:850-9

Reife CM. Involuntary weight loss. Med Clin North Am 1995;79:299-313.

原因の頻度が書いてあるもの(上記

  1. Huffman GB. Evaluating and treating unintentional weight loss in the elderly. Am Fam Physician. 2002;65:640–650. (table 1, 2)​
  2. AAFP. Unintentional Weight Loss in Older Adults. Am Fam Physician. 2014;89:718–722 / 2021 更新版. (この両方に、MEALS-ON-WHEELSの表は含まれていません)​
  3. Stajkovic S, et al. Unintentional weight loss in older adults. CMAJ. 2011;183(4):443–449.(Box 1,2)​
  4. Moriguti JC, et al. Involuntary weight loss in elderly individuals: assessment, etiology and survival. Sao Paulo Med J. 2001. (table1, 2)

ここまで

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