下記論文の要約です
Wendling AL, Short A, Hetzel F, Phillips JP, Short W. Trends in Subspecialization: A Comparative Analysis of Rural and Urban Clinical Education. Fam Med. 2020;52(5):332-338.
僻地で研修を受けた方がプライマリ・ケアを選ぶ
また内科に比べ家庭医療の方がプライマリ・ケアにとどまる
ミシガン州立大学(MSU)の1974-2011の医学部卒業生約1000人の進路調査
MSUは全く同じ採用条件で採用した学生に後半の臨床実習の2年を過ごす場所の希望を入学時に僻地キャンパスか都市部キャンパスかを選択させる(原則希望が通る)
結果
*僻地キャンパスで臨床実習をした医学生(Rural campus:RC)の61.5%がプライマリ・ケアを専門に選択(都市部キャンパス(metoropolitan campus:MC)) は51.3%)
*RCの学生はMCの学生に比べて家庭医療を選択する可能性が2倍
*家庭医を選択した93.6%はプライマリ・ケアの実践をしているが、内科を選択した学生でプライマリ・ケアの診療にとどまるのは48.1%、外科系もそのまま一般外科にとどまるのは33.6%(米国は外科系は全員最低1年の一般外科の研修が必要)この診療科ごとのsubspecalizationの比率はRCとMCで差がなし
この、家庭医の大半はプライマリ・ケアに残り、内科は半分が領域別専門に、というのは自分が専門医になりたての20年前にも言われていたことで(今出典は出せませんが)何も変わっていない。
もちろん、RC vs MCは学生の自由意志なので、違う集団(選択バイアス)だが、それをいうならジェネラリスト を増やしたいなら医学部のadmission policyでそういう指向性の受験者を採用する必要がある。
参考までにこの論文では
プライマリ・ケアdisciplineを家庭医、内科、内科/小児科コンバインド、小児科の4つ
general core disciplineとして救急、一般外科、産婦人科、精神科
と定義しています。
abstractの結論の最後の文章
FM residency match rate may be the best predictor of long-lasting impact on the primary care workforce.
家庭医へのマッチ率が、プライマリ・ケア労働力に対する長期持続するインパクトのもっとも強い予測因子ではないか
が響きます。


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